かつて、私は、雑誌 ZAITEN(財界展望)から取材を受けた。
この雑誌は、企業の不祥事を取り上げることにかけては
定評がある、と自負している媒体である。
取材者は、副編集長の真鍋雅亮氏と冨永恵子記者。
場所は日本橋三越のレストラン。
フリーライターの森岡秀樹氏から紹介されたものだった。
森岡氏とは以前1度だけお会いしたことがある。
週刊文春に署名記事を書いていた森岡氏にアプローチし、
ある企業の不祥事について、書いてほしいとお願いしたのだが、
自分はすでにこの企業がらみで一度書いたので、
もう書かない、といって断られた。
その代りとして、ZAITENをご紹介していただくことになった。
1時間ほどいろいろ聞かれた後、
実際記事を書くのは冨永氏だと仰っていた。
出来上がった記事は、骨太な内容で、
とても冨永氏のような若い女性が書かれたとは
思えないようなスタイルで、感心した。
しかしその後、実際にはその記事は、
森岡氏が書いていたということが判明した。
つまり、ZAITENは、取材を装ってインタビューし、
実際には覆面ライターに書かせていた、
ということである。
森岡氏はこの記事を他誌に流用したため、
盗作ではないかとの疑いが浮上し、
ZAITENも調査に乗り出したのだが、
実態は、ZAITEN自身の不正が原因だったことが判明した。
この責任を真鍋雅亮氏に追及すると、
知らぬ存ぜぬで逃げるばかり。
結局、「不正を暴く」ことを売りにしている
ZAITEN自身がゴーストライターに記事を書かせていた、
しかも取材対象者に嘘をついて芝居まで演じていた、
ということである。
こんな雑誌のどこが信用に値するのだろうか?